ヒラズゲンセイ情報募集のページ


<更新:2022/7/20>
・ヒラズゲンセイの発生期に入り、京阪神(都市部)のあちこちで目撃されています。これまで100以上の観察例を聞いたうち、過去に聞いた事故例は1件だけ(下記ご参照:事故確率は1/100以下)ですが、いちおうどうぞご用心ください。
・2022年夏までの市町村別の初記録の分布データをまとめて論文化します。まだ記録のない市区町村について、情報ありましたら、ご協力よろしくお願いします。




ヒラズゲンセイ成虫が多くみられる時期は5月下旬〜7月中旬です。
クワガタを真っ赤にしたような虫を見かけたら、触らないようにしてください。

※報道によって過剰に反応される方がおられるようですが、被害は、かぶれることがある毛虫や植物のウルシと同程度と考えていただいたらいいと思います。また触ったら必ずかぶれるわけではありません。(2019年7月18日追記)


触って指に水ぶくれが出来た事例が実際に発生しています。どうぞご用心ください。(2018年6月14日)
※個体が持つ体液の量によるようで、水ぶくれが起こるほど多く持っている場合(=すごく匂いがするらしい)は少ないようですから、実際にこのような事故にあうことは稀と思われます。

皮膚炎を起こすヒラズゲンセイについてヒラズゲンセイはどうやってクマバチの巣に入るのか?
 近畿2府5県で、まだ記録のない市区町村の分布情報を募集 (※既に記録がある市区町村についてはご連絡不要です)
※既に記録があるところでも、より早い年の記録をご存知でしたら、お願いします。2022年秋ごろにまとめて論文化します。
■〜1980年以前、■1981〜1990年、■1991〜2000年、20012010年、■2011〜2020年、■2021〜2022年
大阪府兵庫県京都府滋賀県三重県奈良県和歌山県

近畿全体の分布拡大状況(2022年7月13日更新)


連絡先:初宿(しやけ)成彦あてhippodamia13@gmail.com
あるいは、市町村名がわかるように+できれば写真もつけて、#ヒラズゲンセイ でツイートしてください。あるいは添付で直接メール(下記)でもいいです。
・見つかった場所(できるだけくわしく) 発見者などの情報もできれば
 (※)市町村別で初記録になる場合(過去のを含め)のみを情報募集しています。既記録の市町村の情報は不要です。上記マップでお確かめください。
・日付(できればだいたいの時刻も)
・できれば写真をつけて(種類と♂♀の確認のため)
 電子メール hippodamia13@gmail.com
Twitterは@s_shiyake

とくに初夏から秋にかけては不在のことが多いので、
電話は避けてください。
標本そのものが必要なわけではありません(デジカメ写真等でわかりますからそれで十分です)。
FAXの場合は 06-6697-6225(大阪市立自然史博物館代表=ただし初宿は既に同館を退職しています)



近畿のヒラズゲンセイ

 ヒラズゲンセイはツチハンミョウ科の甲虫で,真っ赤で鮮やかな色彩が特徴の大型甲虫です.近畿では和歌山県湯浅町で1976年に見つかったのが最 初で す.その後,淡路島(1977年),神戸市北区(1985年)と見つかるようになり,1999年には大阪府貝塚市で見つかりました.これは大阪府で初めて の記録となりました.その後、滋賀県まで分布を拡大しています(後述)。
 高知県では戦前から生息が知られていましたが,近畿でこのようにコンスタントに見られるようになったのは,おそらく本種の分布が北へ拡大しているためと 思われます.

ヒラズゲンセイの概要
Cissites cephalotes (OLIVIER)
 体長18-30mm.鮮紅色でオスは大あごが強大.メスは大あごと頭部が小さい.クマバチに寄生するが,生活史にはまだまだ謎 が多い.体液にはカンタリジンが含まれ,かぶれや水ぶくれの原因になる衛生害虫でもある.
 分布:本州(近畿南部),四国(高知,徳島),九州,南西諸島,台湾,フィリピン,ベトナム,タイ,ビルマ,マレーシア,イン ドネシア.




ヒラズゲンセイ北上のルート
  大阪府への侵入経路は2つあると思われます.ひとつは和歌山県から北上して泉州へ入ったルート,もうひとつは淡路島から神戸を経て北摂方面(こちらは現在のとこ ろ、大阪府内では未発見)へのルートです.大阪市では2003年に住吉区で見つかったあと、2007年に東住吉区、2009年には阿倍野区で、2012年には港区でも発見されてい ます。
 奈良県では2008年に奈良市・橿原市で見つかったほか、2009年6月には京都市伏見区内(宇治川堤防)からも発見情報をいただきました(初宿 2010)。これが最北東限の記録でしたが、
2012年6月に滋賀県栗東市で分布報告がありました(武田, 2012)。ルートとしては奈良市から木津川流域を下った可能性が高いように思われます。


 三重県については,紀淡海峡を渡ったものが紀伊半島を南回りで進んでいる可能性がありますが、このまま行けば、伊賀地域での発見のほうが先になるかもしれません。2016年に伊賀で発見
 


近畿地方でのヒラズゲンセイの分布拡大状況。2017年末現在。

   

ヒラズゲンセイをさがそう=クマバチの巣をさがそう

  ヒラズゲンセイはクマバチに寄生します.クマバチの巣のまわり(通常は真下)で見つかることがほとんどですので,ヒラズゲンセイの分布の有 無を知るためには,クマバチの巣の目星をつけておくことが重要になります.
 クマバチの巣は腕ぐらいの太さの枯れ木に,直径1.5センチぐらいの穴を下向きに空けます.樹種はサクラが多いように感じますが,マツなども目撃したこ とがあります.比較的柔らかめの材を好むようです.そのほか,木造の住宅、公園の休憩所、藤棚などにも巣をつくることがあり,害虫となってます.お寺や神 社な ど,古い木造建築の密集するところで探 すのがひとつのコツですが,ただ歩いて回るだけでは,巣を見つけるのは簡単ではありません.


クマバチの巣。真下に向いた真ん丸の穴をあける。公園のサクラなどで、その気に なって探してみると、意外に見つかる。すりこぎ棒ぐらいの太さの枯れ木を探すとよい。


 穴の中には部屋があり,その中で幼虫は母親バチの蓄えた花粉や蜜を食べて育ちます.採餌の時期は5月中・下旬から6月上旬までで(松江市での観察:杉浦・ク原1996),その期間,クマバチの母親はフジなどの花と巣の間を忙しく往復します.訪花しているクマバチを追いかけて,巣を見つけるのも一手かも しれません(ただし,飛翔は速く,よほど近くの巣でないと難しいと思われます).
 クマバチ成虫が出生巣から分散し,新しい巣を作成するのは4月下旬から5月中旬ですので(松江市での観察:杉浦・ク原1996),その期間までに設置し ておかなくてはなりません.
 近畿でのヒラズゲンセイの出現期は,6月中旬から7月中旬ごろに集中しています.この期間に目星をつけたクマバチの巣をまわります.オス同士の闘争に負けたヒラズゲンセイの死体が巣の真下に転がっていることがあるようです.



引用文献

稲本雄太 2008. 奈良県におけるヒラズゲンセイの記録。NatureStudy 54(10): 8.
岡本素治2011. ヒラズゲンセイの配偶システムの観察と生活史ノート.昆虫ニューシリーズ14(4): 263-275.
京都新聞 2014. 真っ赤な甲虫 住宅街に、ヒラズゲンセイを発見。7月1日付。
久保弘幸 2012. 加古郡播磨町におけるヒラズゲンセイの観察。きべりはむし35(1): 42.
桑原幸男 1976. 有田市にてトサヒラズゲンセイを採集。KINOKUNI (16): 14.
佐藤邦夫 2012. (淡路市のヒラズゲンセイに関する記録)Awajiensis No,11 (原著未見、佐藤氏によるご教示)
澤田義弘 1995. 貝塚市でヒラズゲンセイを採集。NatureStudy 41(3): 6.
初宿成彦 2001. ヒラズゲンセイ,神戸の繁華街にあらわる。NatureStudy 47(1): 12.
初宿成彦 2008. ヒラズゲンセイの温暖化による北上と生活史。昆虫と自然 43(12): 9-12
初宿成彦 2010. ヒラズゲンセイ、京都へ。Nature Study 56(1): 6.
武田滋 2012. 滋賀県大津市のヒラズゲンセイ.Came虫(169): 6.
田野恵三 2000. メーリングリストが見つけた泉南郡熊取町のヒラズゲンセイ2頭。NatureStudy 46(3): 6.
登日邦明 1980. トサヒラズゲンセイ淡路島に産す。Parnassius (23): 9.
中西康介 2016. 近江八幡市におけるヒラズゲンセイの記録.Came虫(187): 13.
中峯 空・青木陽介 2011. 2010年の兵庫県におけるヒラズゲンセイ発生記録。きべりはむし33(2): 24.
平井規央・八木孝司・池内健 2007. 堺市におけるヒラズゲンセイの生息の確認と交尾・産卵の観察記録。南大阪の昆虫 9: 24.
福田哲郎 1995. 和泉市にトサヒラズゲンセイの死体。NatureStudy 41(9): 11.
的場 績 1976. トサヒラズゲンセイ和歌山に産す。KINOKUNI (12): 14.
的場 績 1986. ヒラズゲンセイの採集例。KINOKUNI (30): 10.
三木 進 2015. 佐用町昆虫館に託されたヒラズゲンセイ。きべりはむし38(1): 29.
宮武頼夫 1981. トサヒラズゲンセイ和歌山市でみつかる。NatureStudy 27 (3): 10.

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