とある大学の「博物館教育論」の講義を見学させていただく機会があった。とはいえ、当日は教官による講義ではなく、学生たちによるアイディア発表会・・・。テーマは博物館・美術館での教育プログラムの計画立案。レポートとはいえ、各学生がアイデアをひねり出し、若いセンスが全面に出ていて、実に面白かった。興味や方向性が十人十色で、レポートを楽しそうにまとめている様子が表情に見て取れた。
いちおう私が博物館勤務経験者ということで、講評をさせていただく時間を少しいただいた。
今回はいわゆるPDCA(P計画→D実行→C評価→A再計画)サイクルのうち、Pの計画部分が主なので、果てしなく壮大なプランとかもある。
私は「実際には次のD(実行段階)で、予算が無い、人手が足りない、広報がうまくいかない、とかなるねんで〜」と夢を潰すような事を言いそうになったが、それは学生たちが社会に出て(博物館でなくとも、民間企業での広報、役所での啓発活動に通じる内容)、その実行段階で現実には挫(くじ)かれればいいことだ。
私自身が博物館勤務で企画を考える時、大事にしてきたのは、できるだけ楽しいと自分に暗示をかけるようにしてきたということ。「嫌やなぁ、面倒くさいなぁ」と思う企画でも、そうと思ってしまったら、仕事のスピードはどんどん遅れがちだ(そして、いずれ立ち往生する)。他方、気持ちだけでもポジティブに捉えるだけで、スピードは1.2倍、時には1.5倍になる。
そして(最初は一人でも)楽しそうにやってると、なぜか自然と人が集まってきて、あれこれ私の引出しにはない見地から、新しいアイデアを肉付けしてくれる人がいたりする。
人間は「人」の「間」って書くんだよなあ、と思ったりする瞬間でもある。