Mさん逝去の誤報

若い時からたいへんお世話になって、今は隠居生活を続けられているMさん。「亡くなった」という話を聞いて、確かめもせずに、SNSで情報を流してしまった。情報に振り回されることは誰でも人生にはあると思う。できるだけ眉に唾をつけるようにしてきたが、今回ばかりはすっかり信じ込んでしまった。

過去にも、すっかり信じ込んでしまったことがあった。それは東日本大震災で大津波があった数日後、「また巨大津波が来る」というものだった。たしかテレビでテロップでニュース速報が流れたと思う。「警察と自衛隊と消防が言っている」というもので、後から思えば、騙しやすいシチュエーションが織り交ぜてあるなあと思った。

両者に共通する点がある。それは心のどこかに「そんなことがあったら大変だけど、なるかもしれない」という気持ちを常に持っていたことが挙げられる。なので、その報を聞いた瞬間、「ああ、やっぱりか、その時が来たか」と早合点してしまうのである。

今後、眉の唾の付け方を入念にしなくてはならないと思う。

他方で、年を追うごとに自分が誤っている方向に進んでいることに気づきにくいとも感じている。仕事でも「これが正しい」と思っても、不具合が見つかって初めて、最初の第一歩が間違っていたと覚る・・・。道を歩いていても、同様のことは以前より増えた。

お年寄りをターゲットにした詐欺事件が後を絶たないが、騙されたとわかるまで、上記の私と同じような心理状態で悪い方向へ導かれてしまうのだと思う。お年寄りはその「気づく」所までの時間がより長いから、何回も騙されて振り込んで、というところまで行ってしまう。

金融機関でも職員や周りの人間が気を付けているけれど、衰えも悪人の存在も世の常で、根絶するのは難しい。

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大阪市のクマゼミの初鳴記録をSNSで

生物季節観測が2020年で終了した。以前も書いたが(下記)、私の意見は、「残念」と「いたし方ない」の両方の間ぐらいに位置している.

48Kのブログ「生物季節観測の終了について」2021年2月 4日

この中でSNSを用いた初鳴記録の可能性に言及したが、2023年の大阪市のクマゼミの出現状況について着手してみようと思う。ご協力お願いいただけたら幸いである。

記録の内容

  • 記録してほしいもの クマゼミを初めて聞いた年月日(できれば場所と時間も)
    マイ初鳴記録で結構です。たくさんデータが集まることで、ひとつひとつの情報が意味を持つようになります。
  • 範囲 大阪市24区

報告の方法

  • Twitter #大阪市クマゼミ初鳴 のハッシュタグがあると探索がしやすくなります
  • Facebook 同様に#大阪市クマゼミ初鳴 をつけてください(※可能ならTwitterのDMかFacebookのMessengerでもお知らせいただけるとありがたいです)
  • 電子メール hippodamia13@gmail.com クリックすると設定次第でメーラーが立ち上がります。本文に追記して送信してください。

経過報告

6月28日夜時点で7件あります。データがたくさん集まれば、クマゼミの鳴き始めの様子がうまくとらえられると思っています。

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大阪のクマゼミ初鳴予報(2023年版)

 春になるとサクラの開花やその予想日が話題になる。他方、セミも夏の到来を告げる風物詩であるが、その初鳴予想というものは行われてこなかった。

 大阪ではクマゼミの初鳴観測が1976年から行われてきたが、最早で6月24日(1983年)、最遅で7月26日(1976年)と1ヵ月以上も差がある。

 詳細な野外データの蓄積と気温の計算によって、クマゼミの初鳴の予想に取り組んでいる。

※桜は花のつぼみの様子を観察できるが、セミは幼虫が土の中にいるので様子がわかりにくく、予想はより立て辛い。

結果(7月4日?)

みなさんのツイートや直接報告をまとめてみましたが、大阪でのクマゼミの初鳴日をいつとすべきか・・・。仮に「たくさん聞かれた最初のヤマ(山)と定める」として7月4日としておこうかなと思っています。

※「大阪」としか書いてない場合も含めています。いずれにせよ、気象台がこれまで決まった方法で観測してこられた代わりの方法を考えるのは難しそうです。

報(6月23日)

 その後の気温推移、過去のデータを追加した結果、大阪のクマゼミ初鳴・第2報として

6月29日

と予想します。


第1報(6月16日)

大阪のクマゼミ初鳴は7月6日と予想します。平年(7月6日:1991 年から 2020 年の平均)並みです。

大阪におけるクマゼミの初鳴日(1976~2020年)
温暖化傾向のため、初鳴日は明らかに早まっている。
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究極のナチュラリスト=マタギ

 以前から気になっていたマタギ資料館(秋田県北秋田市)を見学した。マタギとは東北地方などの山において伝統的な方法を用いて狩猟を行なっていた人を指す。

 興味をひかれたひとつは、その山に対する信仰心であった。山を神(女神、しかも醜い!)がすむ神聖な地としているそうで、これは仏教伝来以前の原始神道に通じるものがある。

 もうひとつはマタギ衆が使う言葉である。里で使う言葉は山の中では使わないそうで、水・酒=ワッカ、イヌ=セト、などと言うそうだ。「ワッカはアイヌ語ではないか」とすぐにピンと来た(カムイワッカ[=神の水]の滝というのが知床にある)。

 熊を「山の神からの授かり物」と考えている点はアイヌとの共通性もある。

 マタギの起源は平安時代から鎌倉時代と言われているそうだが、そんなに新しいはずは無いと思う。少なくとも狩猟生活をしていた縄文時代からのものではないだろうか。あるいは沿海州ナナイ族の猟師、デルスウザーラ(黒澤明監督により1975年に映画化)が同起源であれば、旧石器時代にまで遡る可能性さえあると思う。

 デルスウザーラは山の自然の中で暮らすための自然に対する知恵をたくさん身に付けており、究極のナチュラリストなのだと映画を見て思った。おそらくマタギも同様であろう。

 自然との関係が極めて薄弱になっている現代人の生き方は、これからも自然環境の破壊が続けられ、その負荷は増大するばかりである。私は米や麦の栽培開始より前の狩猟生活が、人類が採るべき持続可能な生き方だったのではないかと思っているが、彼らはそれを実際に示しているように感じた。

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フィールドワークの大切さ

自然史科学の傍らで、自己流ながら地名由来の研究をしている。どちらも「現場にこだわったフィールドワークがとても大事である」と言われている分野だ。

とある場所の地名由来について、「地形に基づいているだろう」というアイディアを持っていたが、 地形図を見るだけではよくわからなかった。しかし、このほど現地に行ったら一目瞭然、私はその地名由来に確信を持てた(※いずれ発表します)。

マスコミの記者さんも同様に、現場へ行く事の大切さを先輩から教わるそうである。昔は電話しかなかったからかもしれないが、昨今の記者さんはメールで問い合わせて、その回答に基づいて、現場に行かず(取材先の声も聞かずに)に記事にされることもあるようだ。

自然史科学でも、生物系だったら標本、DNA、酵素を扱う、地学系だったら地層が読めない、など、他の方が得たサンプルの屋内での分析に終始して、フィールドに全く出ない方も昨今はあられるようだ。

でも、それでは理解が表面的であると思う。その場に行ってみれば、何らかのものが得られるはずである。

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退職して1年(その2)

 退職1年前に退職を申し出たが、その時はリアリティが無かったと思う(引き止めたりしてくれないかな、とか思ってたかもしれない)。そして最後の半年ぐらい前になってから、その後の不安が猛烈に襲い掛かってきて、精神面でおかしくなってしまった。幻聴が聞こえたのはこの頃だ。

 考えなおしてみても、(1)時間はあるが貧困か、(2)お金はあるが忙しいか、どっちが幸せかは、やはりわからない。

 自殺者の多さについて言及した。貧困を理由に死を選ぶ方もおられるが、実際、日本では飢餓が理由で亡くなる人はたいへん少ないと聞いた。

 他方、仕事が忙しすぎて、あるいは責任がとれなくなって、自死を選ぶ人はたいへん多い。

 1年経ってみれば、当時の私は「敷かれたレールから外れる」という経験が無く、不安ということだけだったかもしれない。レールから外れても、1年間、いちおう生きられたし、なるようにしかならなかった。

 そして、身体さえ動けば、なんとかなるという気もしている。(←「健康第一」は巷で使いまわされている言葉だが、ここ重要です)

 

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大阪市立自然史博物館を退職して1年

 大阪市立自然史博物館を退職して1年が経とうとしてします。給与所得者でないヤクザな生活に、否が応でも馴れてきた感じはしています。

「時間は出来たが金は無い」ので、安い食材をスーパーで買ってきて自炊し、厚着をして電気代を節約する毎日です。でも追われる忙しさから解放され、思考回路がクリエイティブになっている部分は明らかにあります。

 どちらがより幸せかは、よくわからないです。

 年間3万人も自殺者がいる我がニッポン・・・。朝夕に電車通勤の人たちを見ていても、みなさん幸せそうにはまったく見えません。

(野尻湖昆虫グループ連絡誌「うんころがし」135号より転記)

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青木淳一さん、逝去

 所属サークル(野尻湖昆虫グループ)の連絡誌に、青木淳一さんの短い追悼文を書きましたので、紹介します。

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 ササラダニ研究のパイオニア、第一人者で、国立科学博物館、横浜国立大学、神奈川県博館長を歴任された青木淳一さんが2022年11月11日に亡くなられました。87歳でした。

 近年の冬合宿で掘り出した野尻湖第12次発掘(1993年)のササラダニ化石を同定してくださり、野尻湖昆虫グループと共著で報告しました(2019年の野尻湖ナウマンゾウ博物館研究報告第27号: 33-34)。「サカモリコイタダニというけど、別に酒盛りしながら新種記載したわけじゃないからねえ。人名なんだよ」とおっしゃってました。

野尻湖昆虫グループ(執筆責任者:初宿成彦)・青木淳一 (2018.3) 第13次野尻湖発掘で見つかったササラダニについて.野尻湖ナウマンゾウ博物館研究報告第 (27): 33-34.

 ご退官後は少年時代の甲虫屋に戻り、大阪での甲虫学会の会合にもしばしばお見えで、研究発表や懇親会で、ホソカタムシをあちこちへ楽しそうに探しまわっているご様子をお話しされてました。

「ほんとの偉い人ってのは、ぜんぜん偉そうにしはらへんのやなあ」と思ったものでした。ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

2008年12月14日、旧・甲蟲學會の年次大会(大阪市立自然史博物館)で
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五感で季節を感じられる人間になろう(2月)

4月から若者たちの前で話をさせていただく機会を得た。難しい話はできるだけしないで、「五感で季節を感じられる人間になろう」と呼びかけようと思っているが、私自身がどれほど感じられる人間か、はなはだ自信がない。

なので、とりあえず近所のスーパー(滋賀県大津市)を何軒かまわって果物や魚介類がどういうものが売られているかを書き留めることにした。定期的に1ヵ月に1回ぐらいはやりたい。

ちなみに購入したのは、さわらのみ。お鍋に入れた。おいしかった。

■りんご
ジョナゴールド
王林
サン富士

■いちご
さがほのか
ゆうべに
あまおう
あきひめ
紅ほっぺ
恋みのり
さぬき姫
いちごさん
ゆめのか

■魚
いわし
はまち
あんこう
赤魚
ほっけ
エテかれい
(子持ち)赤かれい
カラスかれい
しらす
いわし
うるめいわし
あじ

はも
めばる
さわら
かますこ(いかなごの親)

■みかん
いよかん
不知火
デコポン
はっさく
三ケ日みかん
下津みかん
有田みかん
いよかん
はるみ
せとか
文旦
甘平
あんみつ姫

■かに
ズワイガニ

■貝
かき

■ぶどう
シャインマスカット

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「不可解なマッコウクジラ=ヨドちゃんの最終処置」(その4)

100年に一度あるかないかの大きな文化遺産を遺せなかった大阪市(松井市長および自然史博物館)の、結果責任は大きいと思っています。大阪が高い文化を誇る都市であるという自認が、どれだけあったのか、問いたいです。維新さんは「無い」と言いそうですが。

双方が次にどんな声明を出すのか、待ちたいと思います。生の声という意味では、「海に戻すのがいいと思う」と言う松井市長のコメントは聞きました(私は反対でしたが)。

他方、大阪市での担当は当然ながら自然史博物館であり、件の文書による「後追い言い訳声明」のあと、だんまりを決め込んでいる同館・川端清司館長の生の声を待ちたい思っています。

自然史博物館館長の怠慢のせいで、「市長に報告をしなかった」という濡れ衣を着せられた大阪市の(匿名)担当者様には、たいへん気の毒に思っており、精神面で病まれることのないよう願っています。

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