2023年1月に大阪・淀川河口に現れたマッコウクジラのオス、ヨドちゃん。
別分野ながら、かつて大阪市立自然史博物館に勤務していたので、これまでもクジラが堺に流れ着いて、 多数の老若男女が集って活動をしている市民サークル「ホネホネ団」らによって、きちんと学術標本として埋葬処置され、そして博物館の大きな目玉展示物となってきた経緯は、もちろん知っている。
しかも今回は大阪市内。そしてこれほどまでに話題になった。彼が博物館のポーチにマッコウクジラのメス(マッコ)と並んで展示されたら、関わった人全員、大阪市民、近畿一円の方々、大阪への海外からの訪問者、そしてご本人(ご本鯨?)にとって、最もいい形での最終処置方法ではなかったのか。
1950年に天王寺に開館し、江戸時代から続く大阪(大坂)の町民学者らと手に手を携え、今日まで自然科学博物館/自然史博物館が育んできたシチズンサイエンスの力量を、示すことのできる絶好の機会ではなかったのか。
ところが、重りを付けて紀伊水道に沈めると聞いて、私は耳を疑った。
学芸課長・佐久間大輔氏のコメント、すなわち「総合的な判断だったから」というのは、いつもの彼の歯切れの良さを知る者としては、まったく物足りなさを禁じ得なかった。
大阪市の松井市長は「引き取りの要望は聞いてない」、そして担当者が市長に伝えなかったとのことだった。しかし、これは自然史博物館館長・川端清司氏が直接、松井市長に電話をしてでも、直談判をすべきだったのではなかったのだろうか。
もし俺が博物館館長なら、間違いなく電話しているぞ!
(元)博物館人のひとりとして、この落としどころは、まったく理解ができていません。私の理解が間違っているなら、正していただきたいです。
クジラのヨドちゃん『博物館が骨格標本化を希望していた』と判明…なぜ費用かかる「海底沈下」に? 市の担当者『要望は市長には話していない』
https://news.yahoo.co.jp/articles/6075568bafceb194ee6843689ce375c5ea4d4f19